公的年金はいくらもらえる?年金額の目安と確認方法

国民年金と厚生年金の違い、平均額を見るときの注意点、ねんきん定期便・ねんきんネットで確認する方法を整理します。

夫婦が年金の資料を見ながら受給額を確認している様子

老後資金を考えるとき、最初に確認したいのが公的年金です。ところが、年金額は人によって大きく違います。国民年金だけの人、厚生年金に長く加入した人、会社員と自営業の期間がある人、未納や免除の期間がある人、60代以降も働く人では、見込額が変わります。

「平均はいくらか」を見ることは参考になりますが、それだけで安心したり不安になったりするのは危険です。大切なのは、自分の場合はいくら見込めるのか、その金額で毎月の生活費をどこまでまかなえるのか、不足があるなら何で補うのかを順番に確認することです。

日本年金機構の「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」では、自分の年金記録や将来の年金見込額を確認できます。平均額はあくまで参考値であり、個人の加入歴や働き方によって実際の見込額は変わります。

公的年金は、大きく国民年金と厚生年金に分かれる

日本の公的年金は、よく「2階建て」と説明されます。1階部分が国民年金、2階部分が厚生年金です。国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満の人が加入する基礎的な年金です。会社員や公務員などは、国民年金に加えて厚生年金にも加入します。

自営業者やフリーランスなど国民年金中心の人は、老齢基礎年金が主な公的年金になります。会社員として厚生年金に加入していた期間がある人は、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金を受け取る可能性があります。配偶者の扶養に入っていた期間、転職、退職、未納、免除、任意加入なども、将来の年金額に影響します。

そのため、同じ65歳でも受け取る年金額は一律ではありません。老後資金の計画では、世帯単位で見ることも重要です。夫婦それぞれの年金見込額、受給開始時期、働き続ける期間、住居費、医療費、介護費を合わせて考える必要があります。

平均額は参考になるが、自分の見込額ではない

厚生労働省の事業概況では、国民年金や厚生年金の平均年金月額が公表されています。たとえば令和6年度の資料では、国民年金の老齢年金受給権者の平均年金月額が示されています。こうした数字は制度全体の傾向を知るには役立ちます。

ただし、平均額にはさまざまな加入歴の人が含まれます。会社員期間が長い人、自営業期間が長い人、配偶者の扶養期間がある人、古い制度の年金を受ける人などが混在します。平均額を見て「自分もこのくらい」と考えるのは危険です。

老後資金で見るべきなのは、自分と配偶者の見込額です。平均額を見たあとに、必ずねんきん定期便やねんきんネットで個別の記録を確認しましょう。特に50代以降は、退職時期や60代の働き方を考えるうえで、年金見込額の確認が重要になります。

ねんきん定期便で見るべきポイント

ねんきん定期便は、年金加入記録や将来の年金に関する情報を確認するために送られる通知です。節目の年齢では封書、それ以外ではハガキで届くなど、年齢によって形式が異なります。届いたら、金額だけでなく、加入期間や記録に誤りがないかを見ることが大切です。

50代の人が特に確認したいのは、これまでの加入期間、保険料納付状況、厚生年金の加入履歴、将来の年金見込額です。会社員時代の記録が抜けていないか、転職時期に空白がないか、国民年金の未納や免除期間がどう扱われているかを見ます。

もし記録に違和感がある場合は、そのままにせず、日本年金機構や年金事務所に確認します。年金は長い加入記録に基づくため、早めに確認しておくほど修正や追加確認に対応しやすくなります。

ねんきんネットでは条件を変えて試算できる

ねんきんネットでは、自分の年金記録を確認できるほか、将来の年金見込額を試算できます。日本年金機構は、現在と同じ条件で60歳まで加入し続ける場合のかんたん試算や、今後の働き方、受給開始年齢などを変えた試算を案内しています。

老後資金の計画では、複数の条件で試算することが役立ちます。60歳で退職する場合、65歳まで働く場合、70歳まで一部就労する場合、配偶者の年金と合わせた場合など、いくつかのパターンを比べると、毎月の不足額が見えやすくなります。

試算は未来を保証するものではありません。制度改正、働き方、収入、保険料納付状況によって変わります。それでも、何も見ずに不安を抱えるより、自分の見込額を置いて生活費と比べるほうが、具体的な判断につながります。

パソコンで年金情報を確認している様子
ねんきんネットでは、受給開始時期や働き方の違いによって金額がどう変わるかを試しながら確認できます。

繰上げ・繰下げは、損得だけで決めない

老齢年金は原則として65歳から受け取れますが、60歳から65歳前に繰上げて受け取る方法や、66歳以後75歳まで繰下げて受け取る方法があります。繰上げると年金額は減り、繰下げると増額されます。日本年金機構は、繰上げ後の減額や繰下げ後の増額が生涯続くことなど、注意点を示しています。

繰上げ・繰下げは、単純な損得だけで決めるものではありません。健康状態、働ける期間、貯蓄、配偶者の年金、住宅ローン、親の介護、医療費、生活費の水準などが関わります。早く受け取ることで生活が安定する人もいれば、働ける期間を延ばして繰下げを検討する人もいます。

特に繰上げは、いったん請求すると取り消しができないなどの注意点があります。繰下げにも、税金、社会保険料、加給年金、配偶者の状況など、確認したい点があります。判断前には、年金事務所や専門家に相談し、自分の条件で試算することが大切です。

働きながら受け取る場合は、在職老齢年金も確認する

60代以降も働く人が増える中で、年金と給与の関係も確認しておきたいテーマです。厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受け取る場合、給与や賞与と年金額の組み合わせによって、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となることがあります。これが在職老齢年金制度です。

働き続けること自体は、収入面だけでなく、生活リズム、社会とのつながり、健康面にも関わります。ただし、年金を受け取りながら働く場合は、手取り収入、年金の支給停止、社会保険料、税金を合わせて見る必要があります。

会社員として働くのか、短時間勤務にするのか、個人事業として働くのかによっても扱いは変わります。退職前後の働き方を考える段階で、年金事務所や勤務先の担当者に確認しておくと、思わぬ手取りの差を避けやすくなります。

老後資金は、年金額と月次支出を並べて考える

年金額を確認したら、次に毎月の支出と並べます。住居費、食費、光熱費、通信費、医療費、保険料、税金、交通費、交際費、趣味、介護費、予備費。現役時代と同じ項目もあれば、退職後に増減する項目もあります。

住宅ローンや家賃が残るかどうかは、老後資金に大きく影響します。持ち家でも、固定資産税、修繕費、管理費、バリアフリー改修費がかかります。親の介護や自分の介護が始まると、通院、介護サービス、福祉用具、住み替え費用が発生することもあります。

年金で足りない部分が見えたら、貯蓄の取り崩し、働く期間の延長、住まいの見直し、支出の整理、家族との情報共有などを考えます。投資や資産運用を検討する場合も、個別のリスクや税金が関わるため、一般論だけで決めず、自分の状況に合わせて慎重に判断しましょう。

まずは「自分の数字」を確認する

年金の不安は、数字が曖昧なほど大きくなります。平均額、ニュース、周囲の話だけを見ていると、自分の生活に必要な判断ができません。最初にやるべきことは、ねんきん定期便を確認し、ねんきんネットで見込額を試算し、毎月の支出と並べることです。

そのうえで、いつまで働くか、いつから年金を受け取るか、住まいをどうするか、医療・介護費をどう見込むかを考えます。年金は老後資金の中心ですが、それだけで老後の生活が決まるわけではありません。

公的年金の確認は、早すぎることはありません。50代のうちに自分の見込額を把握しておけば、60代の働き方や家計の見直しを現実的に考えられます。不安をなくすためではなく、不安を数字で扱えるようにする。その第一歩が、自分の年金額を確認することです。

よくある質問

年金の平均額を見れば、自分の老後資金を判断できますか?

平均額は参考になりますが、自分の見込額ではありません。加入歴、働き方、未納・免除期間、厚生年金加入期間によって変わるため、ねんきん定期便やねんきんネットで個別に確認します。

ねんきんネットでは何ができますか?

年金記録の確認や将来の年金見込額の試算ができます。今後の働き方や受給開始年齢など条件を変えて試算することもできます。

繰上げ・繰下げはどちらが得ですか?

一概には言えません。健康状態、貯蓄、働く期間、配偶者の年金、税金や社会保険料などが関わります。判断前に自分の条件で試算し、年金事務所などに相談することが大切です。